龍二の通夜に行った
回るペダルを踏みしめて銀輪を駆る
死に顔を見ようとした僕を
龍二の姉だという女性が必死で止めた
夕食の最中
牛カルビをホットプレートで焼く龍二の頭が突然爆ぜて
中からカラスが出てきて窓から外に飛んで行ったのだと
彼の姉は涙ながらに語る
それは恐らくカラスではなく黒曜鳥という黒鷲の筈だが
彼女に教えても意味のないことであったわけで
頭痛がひどくなって斎場を出た
体が重い
小脳が悲鳴を上げているのが分かる
いっそ大雨になってしまえば
朝を待たずして僕も楽になれるのだろうが
文明樹の秘法は強者に甘く弱者に厳しいようで